ミステリークレイフィッシュ
別名:マーブルクレイフィッシュ 【アメリカザリガニ科】
外来生物法 
【特定外来生物】 新指定
生態系被害防止外来種リスト
【定着予防外来種】
◆環境省ホームージ「外来種のザリガニを野外に放さないで」


   子どもを腹部に抱えたメス親
        2020.3.9撮影 (2019.12.23抱卵確認,)
 仔ザリガニは触角も伸びて成体とほぼ同じ形。時々親から離れるが、すぐに戻って親の腹肢にしがみつく。親は仔ザリガニを攻撃しない。
 2020.3.21親仔別居、10日後の3.31に戻すと、親ザリガニは水槽の隅に仔ザリガニを追い込み
、瞬く間に2尾を捕食した
 
両鰓間域は広くウチダザリガニに似る

30個ほどの卵を抱卵 2020.2.6

時々腹を揺り動かして卵に酸素を供給
2020.2.25

親離れ始まるが、すぐに戻る
 2020.3.3
    原産地・侵入の経緯  
 北アメリカ原産のザリガニ、スロウクレイフィッシュが突然変異を起こして生じた。染色体数は通常の1.5倍の三倍体で全てメス。
 1995年にフロリダ州で採集された1匹のメスが単独で繁殖し始め、みるみる数が増えたためにミステリークレイフィッシュと名付けられた。手に余った飼い主によりペットショップに持ち込まれ、急速に全世界に広がったという。わずか10年の間に、ヨーロッパ全域やマダガスカル島で見つかっているという。その後の調査で、全てのミステリークレイフィッシュは1個体のメスから広がったということが判明した(National Geographic News,2020.9.23閲覧)。
 我が国では最近までペットショップやネットで販売されていた。野外に放されたものが見つかるケースがあるが、野外定着は確認されていない。


   形態・特徴  
  体長10cmほどまで成長するという。 頭胸部、腹部背面の模様から、マーブル(大理石模様の)クレイフィッシュ(ザリガニ)の別名がある
 すべて三倍体のメスで、単独でメスの仔を産むため(単為生殖)、1個体からでも膨大な数に増殖する能力がある。仔ザリガニは、全く同じ遺伝子をもつクローンである。水質汚濁にも強く、耐寒性もあり、様々な環境に適応する能力がある。
 ヨーロッパでは、様々な水生動植物を捕食し、在来ザリガニと競合するなどの生態系被害をひきおこしている。また、北アメリカ大陸原産のウチダザリガニ同様、カビ病(ザリガニペスト)を抵抗力をもたない在来ザリガニに感染させて絶滅させてしまうなどの問題をおこしている。 


   新潟県内における生息状況  
  2020年現在、日本国内では野外定着は確認されていないが、最近までペットショップやネット通販で販売されていた。個体数は不明であるが、多数個体が全国で販売されており、少なからず野外に放された可能性がある。
 筆者は、2018年.6月にネット販売で1尾を380円(送料980円)で購入したが、すぐに脱出死亡。その後2019年10月に新潟市内のホームセンターで1尾580円で購入、飼育、繁殖の状況を観察した。「特定外来生物」指定を受けて、残った子ザリガニは飼育許可申請を提出して飼育を継続しようと考えている。
   特定外来生物指定を受けた対応  
  ミステリークレイフィッシュをはじめとする外国産ザリガニ類は、※原則としてすべてが「特定外来生物」に指定され、2020年11月より飼育・販売は原則禁止となるが、特例として指定の時点で飼育している個体については、6ヶ月以内(2021年5月1日まで)に申請し、許可を受けることで飼い続けることができる。
 詳細は環境省ホームページ参照 
◆外来ザリガニの規制の内容や申請手続 
                ◆外来ザリガニ類飼育許可申請書  ◆申請書記入例

※他の外国産ザリガニと同様の侵略性が確認されていながら、アメリカザリガニだけは再び「特定外来生物」の指定からはずされた。 
     ◆詳しくは「アメリカザリガニ」をご覧ください
※理由:すでに全国に広く生息し、多数飼育されていることから、指定によって大量遺棄などの混乱がおこるおそれがあるからだという。ミシシッピアカミミガメについても同様な理由で指定は行われていない。アメリカザリガニは小学生がふれあう教材として取り上げられ、ミシシッピアカミミガメは新潟市内にある県立公園のマスコットキャラクターにもなっている。環境省の配慮が正しく理解されていないのが現実で、実効性のある行政指導が求められる。