アメリカザリガニ
【アメリカザリガニ科】
外来生物法 【旧要注意外来生物】 生態系被害防止外来種リスト【緊急対策種】
IUCN 【日本の侵略的外来種ワースト100】
●環境省ホームージ「外来種のザリガニを放さないで」
 
   アメリカザリガニのオス
 
アメリカザリガニのメス
 
アメリカザリガニの幼体
   原産地・侵入の経緯  
 アメリカ合衆国南部原産で、我が国には1927年にウシガエルの餌として20個体が持ちこまれたのが最初である。
その後、食材やペット、生き餌や学校の教材として全国に広まり、現在では北海道から沖縄まで定着している(自然環境研究センター,2008)。
 アメリカザリガニは侵略性が極めて高いため、当初、外来生物法の「特定外来生物」指定が検討された。しかし、あまりにも広く全国に拡散して様々に利用されているため、社会的混乱が予想されるとして、指定は見送られて「要注意外来生物」指定にとどめられた。
 その後、2015年の生態系被害防止外来種リスト公表に伴い、外来生物法の「要注意外来生物」というジャンル自体がなくなったが、ブラックバス類やウチダザリガニなどの「特定外来生物」と同格の「緊急対策外来種」として掲載された。

  形態・特徴  
 オスの方が大形になり、体長最大12cm、 鋏脚を加えた全長は20cm程度に成長する。幼体やメスの体色は黄褐色〜緑褐色を帯びるが、成熟したオスは赤色〜暗赤色となる。
 ザリガニ類はカニ類やヤドカリ類などとともにエビ目(十脚目)に属し、5対の歩脚をもつが、前方の第1〜第3歩脚は鋏脚となり、第1歩脚は強大である。水底を歩き回りながら、水草や様々な底生動物を鋏脚でつかんで捕食する。ウシガエルが生息するため池では、ウシガエルの食糧となっている。
 
   新潟県内における生息状況  
 新潟県内では、佐渡を含む全県の平野部の河川や池沼に広く分布しているが、上流部の冷水域には分布しない。
なお、幼体は、本県には分布しないニホンザリガニと誤認されることも少なくない。
      
ニホンザリガニに間違われるアメリカザリガニ(柏崎の外来生物より) 
  新潟県における被害状況
 アメリカザリガニのよる生態系被害、農業被害については、全国各地で報告されているが、実証するのは容易ではない。このため、「専門家」からも下記のような問題ある見解が公然と述べられ、解決を益々混乱させている状況にある。
 新潟県内では、水田の畦や溜池の堤体に穴を開けられる等の農業被害が報告されている。聞き取り調査でも、次のような希少動植物に対する生態系被害の証言がある。

@胎内市の地本ミズバショウ生育地 (イバラトミヨミ・ズバショウの会 佐藤正氏)
アメリカザリガニが多く困っている。年4〜5回タモ網による捕獲駆除を行っているが、各回100個体ほど駆除している。水草が食害を受けているようで、イバラトミヨも捕食されているかもしれない。環境省「希少野生動植物種」指定のシャープゲンゴロウモドキの記録もあったが、この7〜8年は確認されていない。

A福島潟(NPOねっとわーく福島潟 福井宣明氏)
 ニバス池では、芽出しの時期にアメリカザリガニの食害を受け大変困っている。NPOが管理する自然学習園では、アサザやガガブタが被害を受けている。観察会の度にタモ網で捕獲しており、最近も150個体くらい駆除した。潟からポンプで水を入れる際に稚ザリガニが侵入してくるため、被害が収まらない。
B五泉市のイバラトミヨ生息地(NPO五泉トゲソの会 樋口正仁氏)
NPOが管理する土堀の湧水池や近くの小河川にアメリカザリガニが多数生息している。毎年10月に調査を行っており、毎回200〜300個体を捕獲しているが、駆除が追いつかない状況である。イバラトミヨの生息数は年々減少しており、アメリカザリガニによって水草だけでなく、イバラトミヨの卵も捕食されていると思われる。
   備考・・・とんでもない児童書の記述  
 全国に蔓延するアメリカザリガニは、小学校の教科書にも掲載されており、(遺憾ながら)多くの子どもたちが幼少期から慣れ親しんでいる身近な動物である。中途半端な学習展開では、「外来種の刷り込み」に終わってしまうことも懸念される。
偕成社の子ども向けの本 『ザリガニ観察ブック』(文:小田英智・写真:大塚高雄)では、次のような後書きがある。専門家の執筆だけあって影響は軽視できないものがある。子どもたちに対して、何らかの形で撤回、修正する責任があるのではないだろうか。
  
  ”アメリカザリガニは何の害もなさずに日本の自然にすみつきました。・・・・・・・・・・・・・・・・・
      養殖でもいいから、たくさんのザリガニが日本にいてほしいとおもいます。
         ・・・・・たくさんの子どもたちが、ザリガニをペットとして飼ってくれることを期待・・・・・”