原産地・侵入の経緯 |
|
カイウサギは、イベリア半島(スペイン・ポルトガル)およびアフリカ北西部原産のアナウサギが家畜化されたもの。ヨーロッパ諸国やオーストラリア、ニュージーランドなど、世界各地に放されて野生化しており、我が国でも2016年時点で,、12ヶ所の島で野生化が確認されている(日本の外来生物)。
我が国には16世紀にはじめて移入されたが、現在島嶼で野生化しているものは1950年代〜90年代に放獣されたものであるという(侵入生物データベース)。当初は食肉、毛皮目的の導入であったが、近年はペットとして持ち込まれたものが、自然界に放されるケースが増えているとみられる。 |
形態・特徴 |
|
普通、頭胴長35〜45cm、尾長4〜7cm、体重1.4〜2.3kgであるが(日本の哺乳類)、品種改良により大きなサイズの品種も作出されている。野生型の体色は褐色であるが、改良品種には白色や黒色、まだら模様など様々なものがある。我が国で最も多く飼育されている「日本白色種」は、アルビノを改良したものである。一般に「ウサギは目が赤い」と思われているのは、このためである。
同じウサギ科でも、カイウサギ(アナウサギ)はアナウサギ属Oryctolagus、ノウサギはノウサギ属Lepusに属し、英語ではそれぞれRabit、Hareと区別されており、生活様式や繁殖生態は著しく異なる。本州・四国・九州、佐渡などに生息するニホンノウサギは単独生活で、1〜4頭の仔を年間数回出産する。カイウサギ(アナウサギ)は地中に巣穴を作って群れ生活をしており、4〜6頭の仔を年間数回出産する。ノウサギの仔は毛が生えそろい、眼が開いた状態で生まれてくるが、カイウサギ(アナウサギ)では裸で眼も開いていない。
カイウサギ(アナウサギ)は群れ生活で繁殖力が旺盛であるため、生息密度が著しく高くなり、植生破壊、裸地化などをひきおこすことがあり、島嶼ではオオミズナギドリの巣穴に侵入するなどの問題をおこしているところもある。
|
新潟県内における生息状況 |
佐渡の長谷寺の「うさぎ観音」 と飼育されていたカイウサギ
本間ひろこさん提供 |
新潟県内では、河川敷などに捨てられたペットが見つかることがあるが、天敵に捕食されるなどして、定着は確認されていない。
「うさぎ観音の寺」としてマスコミでも取りあげられた佐渡市の長谷寺では、境内で放し飼い、多頭飼育が行われた結果140頭以上に増えてしまったという。病気にかかり、怪我をする個体も増え、周辺の植生への影響や佐渡固有亜種のサドノウサギへの感染症も懸念される状況であった。保健所からの指導を受け、現在はボランティアの協力で里親捜しを行い、飼育を終了したという。
|
アナウサギ対策と観光活用 |
カイウサギ(アナウサギ)によるオオミズナギドリへの悪影響が明らかになった石川県七ツ島大島では、環境省による駆除活動が行われ、30年をかけてようやく根絶に成功した。しかし、一方、カイウサギが定着している広島県大久野島では、カイウサギを観光資源として生かしているという(ひろしま竹原観光ナビ)。観光客が持ち込む餌でウサギの生息数が増加、怪我や病気が増えたとの指摘がある。島の植生がどうなっているかは不明。
|