アライグマ
【アライグマ科】
外来生物法 【特定外来生物】 生態系被害防止外来種リスト【緊急対策種】
IUCN 【日本の侵略的外来種ワースト100】
環境省ホームージ「特定外来生物」の解説 アライグマ    環境省アライグマ防除の手引き
 


動物園のアライグマ                      
 
  顔と前肢(手)の比較 (左からアライグマ、タヌキ、ハクビシン)
         (アライグマ・ハクビシンの顔画像はPixabayより)
      
    原産地・侵入の経緯  
 北アメリカのカナダ南部から中米のパナマが原産地で、我が国では1962年に愛知県内で初確認され、1970年代以降輸入量が増えて野外定着が進行した。北海道や岐阜県、和歌山県などで定着が進み、現在では全都道府県で確認されている。
 1977年1月〜12月、子ども向けのアニメ「あらいぐまマ ラスカル」がテレビ放送されたことが契機となってペットとして人気が出て、年間1,500頭も輸入されたとのこと(Wikipedia)。見かけの愛くるしさとは裏腹に、成獣はかなり凶暴であるため、多くが野外放逐が進んだとみられる。
   形態・特徴  
アライグマに手足を食いちぎられた ニホンイシガメ
(千葉県房総半島)

東京環境工科専門学校 小林頼太氏提供
 頭胴長42〜60cm、尾長20〜40cm、体重4〜十数kg、タヌキとほど同大。眼のまわりはサングラスをかけたように黒色で、タヌキと間違われることもあるが耳介の縁は白色である。尾に数本の黒色の輪があることがアライグマの最大の特徴である。
 アライグマは、クマと同じように指からかかと全体を地面につけて歩く蹠行性(しょこうせい)で、手の平全体が手袋をつけたような肉球状態である。手は器用で、人の手のように物を握ることができ、木登りもたくみである。
 
タヌキはイヌ、ネコ同様、第一指がごく短く4本指に見えるため、足跡からも区別できる。ハクビシンは鼻から顔の中央の白線が特徴的。   
  アライグマは環境適応力が強く、耐寒性もあるため、森林地帯や水辺、農地や住宅地など、日本列島全域に生息可能である。雑食性で、様々な昆虫類や両生・爬虫類、鳥類や哺乳類を捕食し、カエルや魚類、エビ・カニなどの水生動物も手探りで捕らえる。北海道ではニホンザリガニやエゾサンショウウオを食害することが明らかになり、アオサギが営巣放棄する事例も報告されている。房総半島などではニホンイシガメへの食害がおきており(東京環境工科専門学校 小林頼太氏情報)、地域個体群が消滅の危機にさらされている地域もあるという。
 果樹やトウモロコシなどへの農業被害も多発しており、住宅の天井裏に侵入して糞尿汚染をおこし、イヌを連れて散歩中の人が襲われるという事故も起きている。
 アライグマは狂犬病やアライグマ回虫などの人畜共通感染症を引き起こすおそれがある。日本国内では、アライグマの狂犬病汚染は確認されていないが、飼い犬やペット、他の野生動物から感染するリスクがあり、警戒を要する。ちなみに人が噛まれて狂犬病を発病した場合には、致死率がほぼ100%だという(アライグマと狂犬病問題:関西野生動物研究所川道氏報告2014)。

アライグマの特徴的な食害痕
(アライグマ防除の手引きから)

スイカの中身を手でえぐり出す
トウモロコシの皮をむいて食べる
   新潟県内における生息状況

2015.3 上越市名立区新潟大学箕口研究室



2019.6 上越市 上越教育大学中村研究室

   
  新潟県内では、1996年に6頭が有害駆除されたという狩猟統計があり、2〜3年おきに捕獲記録がある。2015年には上越市足立区で新潟大学箕口研究室の無人カメラで複数個体が記録され、2019年には上越教育大学構内で中村研究室の無人カメラで親子連れも記録されており、上越地区で野外定着が進んでいることが判明した。 2018年には新潟市秋葉区の寺院でも1個体が捕獲されており、県北部への進出が続いていると見られる。
 ところで、なぜかアライグマ人気が続いており、いまでも様々な場面でアライグマのキャラクターが登場する。ある法務大臣が就任時にアライグマの大ファンだと公言していたが、案の定、妻の選挙資金を巡る不正事件で辞任に追い込まれた。
 
 左から小千谷市の「真人ムジナ」、佐渡のゴールドバークの「トンチボ」
 国道116号線の「動物飛び出し注意看板」
※真人のムジナ、佐渡のトンチボはタヌキの地方名だが、アライグマが化けた物
 右はアライグマブームの火付け役になった「あらいぐまラスカル」