最強オオスズメバチが 日本在来のニホンミツバチを守る!     
 
樹液に来たオオスズメバチ女王 越冬を終えた女王バチは単独で巣作りを開始
働き蜂が羽化すると、産卵に専念して巣外には出てこなくなる
  
 オオスズメバチは、体長30~55mmに達する世界最大、最強のスズメバチである。性質は攻撃的で、巣を防衛するときはもちろん、餌場でも攻撃してくることがある。樹液に集まり、幼虫の餌として他の昆虫類を狩る。特に餌が乏しくなる秋には、ミツバチの巣やキイロスズメバチなど他種のスズメバチの巣も襲撃する。オオスズメバチの群れに狙いをつけられたミツバチの巣が、壊滅的打撃を受けることもある。オオスズメバチの攻撃を受けたキイロスズメバチがパニックに陥り、知らずに巣に近づいた人々を攻撃することもある。

 セイヨウミツバチは、集蜜能力が高く、飼育しやすいように品種改良された明治時代以降に導入された飼育品種である。蜂蜜を採るため、イチゴや果樹の受粉のために多数利用されており、時には分蜂して野生化することがある。花の蜜に依存する在来のハナバチ類にとっては、脅威となる存在である。
 在来のニホンミツバチは、オオスズメバチの攻撃に対して、1匹に集団で取りついて蜂球(ほうきゅう)を作り、熱殺するという防御手段をもっている。蜂球の内部温度は、飛翔筋の発熱で35℃以上にも達するという。
 一方、セイヨウミツバチは峰球を作ることができず、オオスズメバチの攻撃に無防備である。 結果的にオオスズメバチはセイヨウミツバチの野外定着を抑制し、在来のニホンミツバチを守っていることになる。   

 
 オオスズメバチ働き蜂 攻撃性が強い

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セイヨウミツバチ 品種により変異があるが、一般に体色は明るい褐色     
     



   集蜜するニホンミツバチ  セイヨウミツバチに比べてやや小型で体色は黒っぽい   
   オオスズメバチの巣を採る
 2020年秋、福島潟公園内でオオスズメバチの巣が発見され、来訪者の安全のために駆除したという。10月末、ビュー福島潟スタッフの大倉さんが駆除に当たったが、その方法は超人的。なんと殺虫剤や花火などは用いず、巣から飛び出してきたハチを捕虫網で捕らえ、最後はスコップで掘り出したという。10月末にはハチの数も減少し始めているとはいえ、ハイリスクな方法だ。
 大倉さんによれば、直径29cm前後の巣盤が5段重なっていて、最大の巣盤には334個の育房があいていたという。全部で約1,500個、膨大な数のハチが巣立った跡である。六角形の育房の横幅は14mm、深さ35mm、小指がすっぽり入るサイズだ。キイロスズメバチやアシナガバチに比べて、はるかに大きい。さすがに世界最大のスズメバチだ。
巣を撤去した大倉さん
防護服や殺虫剤を使わない方法
は、普通の人はまねできない。

オオスズメバチの巣盤
育房には小指1本が入る
スズメバチ類の巣盤は
外被に被われている。