フランスギク  【キク科】

生態系被害防止外来種リスト
   【その他の総合対策外来種】
 
  北海道ブルーリスト「フランスギク」 (画像は除虫菊と思われる)
 

    原産地・侵入の経緯

 

 ヨーロッパ原産で、我が国には江戸時代末期に持ち込まれた。園芸植物として植栽されたほか、道路工事で法面緑化植物に混ぜて
用いられ、各地で野生化している。低温に強く、北海道や本州の高地などで野生化が目立つ。

 市街地や平地においては大きな問題となっていないが、高寒冷地では競合により在来植物を駆逐する等の問題をおこしており、
八幡平などでは駆除が行われている。

 生態系被害防止外来種リストでは比較的軽微な「その他の総合対策外来種」指定であるが、北海道ブルーリスト2010では2番目に
緊急度が高いA2ランクに指定されている。


   形態・特徴

 

   キク科の多年生草本で、高さ30〜80cm、直径5cmほどの白い花を咲かせる。マーガレットや除虫菊と間違われることがあるが、
葉はへら状で大きな鋸歯があり、細かく分かれることはない。
 花は6月ごろに開花し、種子が熟すと容易に落下し、付近に散布される。種子と地下茎により繁殖し、地上部が刈り取られても
萌芽、分けつし、株数が増加する。

   県内における生息状況

 

  新潟県内では、民家の庭や公園で植栽され、農耕地や道路沿いに分布を拡大している。
野生化は、自力による繁殖のほか、人為的な植栽や種子散布によると思われる。山間の林道や草原にも群落を形成し、在来植物、
特にウツボグサやホタルブクロなどの路傍植物にとって大きな脅威となっている。
 佐渡ドンデン山では、貴重な在来植物を守るため、市民団体による駆除活動が始まっている。 


   参考文献

 

   ・日本生態学会編,2002.外来種ハンドブック,地人書館.東京.
   ・清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七(編・著),2002.日本帰化植物写真図鑑,全国農村教育協会.東京.
   ・清水建美編,2003.日本の帰化植物.平凡社,東京.
   ・(財)日本自然環境センター,2008.日本の外来生物.平凡社.東京.

 


水田の畦に刈り残されたフランスギク

花はマーガレットに間違われやすい

葉の形はへら型
 フランスギクの脅威に晒される 在来路傍植物のウツボグサ
    ・・・数年を待たずに消滅する運命  
 
フランスギクの実生苗
刈り取られても萌芽する生命力
 
毎年、大量の種子がばらまかれる